入学式が挙行されました

令和5年度入学式が挙行されました。

令和5年度入学式式辞(主旨)

本日、入学式を挙行できますことは、私ども教職員一同の、大きな喜びでございます。心から御礼申し上げます。

 ただいま、入学許可をいたしました新入生の皆さん、入学おめでとうございます。保護者の皆さま、お子さまのご入学おめでとうございます。長い義務教育期間を経て さまざまな思いで本日をお迎えになり、喜びも一入(ひとしお)のことと存じます。私ども教職員一同、皆様のご協力を得ながら、一丸となって新入生全員が充実した高校生活を送り、無事に卒業の日を迎えられますよう、精一杯頑張っていく所存でございます。

本校は今年、創立151年目を迎えます。創立から150年を経て、更なる次の10年へのスタートの年になります。皆さんも本校の長い歴史にしっかりとした足跡を残していってください。

さて、この数年来のコロナ感染症による未曽有の社会的混乱は、まだ完全には収束しておりません。学校でもこれまで様々な式典・行事が影響を受けましたが、形式を変えるなど、工夫をしながら可能な限り実施してきました。この入学式も原点に戻って、新入生に入学を許可し、三年間しっかり学ぶ覚悟を持てと伝える、ということを念頭に実施しております。

昨日の始業式で、2・3年生にも伝えましたが、本校では1年生は共通科目、2年次から文系・理系に分かれて勉強します。それでも「どうして、この科目を勉強するの?」と、自分の選択外の科目はいらないというようなことを口にする生徒がいます。多くの場合は「受験に関係ない」という意味のようですが、極論すると問題点は「教養は何のために必要なのか」ということになると思います。アメリカの哲学者・アラン・ブルームによると「教養の役割とは、他の見方・考え方があり得ることを示すこと」だそうですが、一見、今すぐ役に立ちそうにないこと、目の前のテーマとは無関係に見えることが、実は物事を考える時の「参照の枠組」として、非常に大事なのです。例えば、ある特定の分野しか学ばない人は、見方が一方的になったり、狭すぎたりする傾向があるようです。学びというのは、答えを知ることではなくて、先人たちの思考や研究を通して「新しい視点」を手に入れることです。

そういう意味で、学校で、スマホで検索すれば簡単に知ることが出来る「正解」だけを教えることは、あまりいいことではない、と考えています。結局は「自分の頭で」考えることが大切です。是非、自分で考えて行動できる人になってもらいたい。また、そういう生徒を育てるのがこれからの学校の役割だと思っています。

最後になりますが、高等学校は修養の場でもあります。そして、学校だけでなく、家庭と地域の三者が連携・協力することが大切です。保護者の皆様、本校の発展と充実のために温かいご支援とご協力を賜りますよう切にお願い申し上げます。

新入生諸君には、今日の喜びと感動を忘れず、心身共に健康で、自らを高め、有意義な学校生活を送ることを期待します。

以上をもちまして、入学式の式辞といたします。ありがとうございました。

令和5年4月8日 学校法人 上野塾
東京高等学校長  鈴木 徹