卒業式が挙行されました

令和5年度卒業式が挙行されました。

令和5年度卒業式式辞

306名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
皆さんは令和3年4月に入学し、それ以来3年間、本校で多くのことを学び、高等学校の全課程を修了しました。

明治5年創立の本校は、皆さんが2年生だった一昨年に、創立150周年を迎えました。高校に在学するのはわずか3年間ですが、皆さんは本校の歴史の一頁に、しっかりと刻み込まれたわけです。先ほど表彰された人たちに限らず、ここに居並んだ一人ひとりが、きっと立派に成長してくれたことと確信しています。

本校の卒業式が始めて実施されたのは、明治27年と記録されていますが、その第1回卒業式から数えて、今回は第132回目ということになります。3年前の入学式は2回に分けて、午前と午後に実施しましたが、それと比べれば、この卒業式には皆が一堂に会することができて、当たり前のことなのですが、その当たり前のことが普通に出来るということに、心より感謝したい気持ちです。

さて、卒業特集の校報にも記しましたが、今、世界はあらゆる場面で二極化が進んでいます。*世界不平等研究所の「世界不平等レポート2022」によると、世界のトップ10%が所有する富(資産)は全体の75.6%である一方、下位50%の富(資産)は全体のわずか2%にすぎません。さらに世界の上位1%の富(資産)は全体の37.8%を占め、最上位2750人の富(資産)だけでも全体の3.5%に達するそうです。また、⁑国際NGO「オックスファム」は、世界で最も裕福な26人が、世界人口のうち所得の低い層の50%に当たる38億人分の総資産と同額の富を握っているとの報告書を発表しています。

日本の状況を見ると、貧富格差は世界全体に比べて小さいことが数字で示されていますが、それでも徐々に悪い方向に進んでいるようです。これを是正して、いい方向にもっていくのはやはり政治の力だと思います。因みに、日本の首相として一番若かったのは伊藤博文の44歳です。初代内閣総理大臣に就任した時ですから、逆にいうと、それから140年近く記録が破られていないとうことになります。昨年の卒業式でも同じことを言いましたが、この数年のコロナ禍によって世の中が変わってきました。皆さんの世代(今の20歳前後)の人たちが、人口の過半数を占める頃には、それは20年くらい先のことかもしれませんが、必ず「変化」が起こります。その時に、「この中」からが理想ですが、少なくとも「皆さんの世代」から「最年少の首相」が誕生し、また、それが「女性である」ということが起こればよいなと期待しています。

しかし、その前に、卒業生の皆さん、今日の節目を確かなものにするために、家に帰りましたら、改めてご両親に卒業の報告をし、感謝の気持ちを伝えてください。

結びになりますが、本校での3年間の教育活動にお寄せいただきました、保護者の皆様のご理解とご協力に対し、心より御礼申し上げます。

重ねて卒業生の皆さんの前途に、幸多かれと、心よりお祈り申しあげます。

以上をもちまして、式辞といたします。

 

令和6年3月5日 学校法人上野塾
東京高等学校長  鈴木 徹

 

*世界不平等研究所
世界の所得格差や貧困、富裕層の状況などについて最新のデータを収集・分析している民間研究機関

⁑国際NGO「オックスファム」
報告書当時の2019年は、世界人口77億1000万人(推計)
2023年12月現在の推計は80億4500万人