卒業式が挙行されました

令和7年3月19日、令和6年度卒業式が挙行されました。

令和6年度卒業式式辞

341名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
皆さんは令和4年4月に入学し、それ以来3年間、本校で多くのことを学び、高等学校の全課程を修了しました。
明治5年創立の本校は、皆さんが1年生の時に、創立150周年を迎えました。また、今年度は鵜の木に移転してから90年の節目でもありました。そして高校に在学するのはわずか3年間ですが、皆さんは本校の歴史の一頁に、しっかりと刻み込まれたわけです。先ほど表彰された人たちに限らず、ここに居並んだ一人ひとりが、きっと立派に成長してくれたことと確信しています。
本校の卒業式が始めて実施されたのは、明治27(1894)年と記録されていますが、その第1回卒業式から数えて、今回は第133回目ということになります。3年前の入学式は新型コロナウイルス感染症対策に細心の注意を払いながらの式典となりましたが、現在では安心して皆が一堂に会することができる、という状況に変わりました。当たり前のことかもしれませんが、普通であることに感謝する、というのも大事なことだと改めて思います。
さて、1月の授業終了日にも、また卒業特集の校報にも記しましたが、卒業生には「東京高校をポジティブに語れる人」になってもらいたいと思っています。学校の悪口を言うなとか、愛校心が有るとか無いとかいうことではありません。自分のいた場所、所属した組織(現在、所属している組織ももちろんです。)を前向きに評価して欲しいということです。例えば、海外旅行に出かけ「貴方の国は?」と聞かれたらどのように答えますか? 仮に、ネガティブなことばかり伝えたら、相手はどう思うでしょうか。日本という国より自分自身がどのように思われるのかを考えてみてください。極端かもしれませんが、自分が生まれ育った国を悪く言うような人と、友人になりたいと思いますか?
そういう意味で今後の東京高校の評価は、皆さんの言動・行動で決まるといっても過言ではありません。第35代アメリカ大統領*ジョン・F・ケネディは「国が貴方に何をしてくれるのかではなく、貴方が国に何ができるかを自問してください」と就任演説で述べています。元駐ペルー大使だった⁑青木盛久氏も「大事なのは『何になるか』ではなく『何をするか』だ」と言っています。
しかし、その前に、卒業生の皆さん、今日の節目を確かなものにするために、家に帰りましたら、改めてご家族や親しい人に卒業の報告をし、感謝の気持ちを伝えてください。
結びになりますが、本校での3年間の教育活動にお寄せいただきました、保護者の皆様のご理解とご協力に対し、心より御礼申しあげます。
重ねて卒業生の皆さんの前途に、幸多かれと、心よりお祈り申しあげます。
以上を持ちまして、式辞といたします。

令和7年3月5日 学校法人上野塾
東京高等学校長  鈴木 徹

*ジョン・F・ケネディ(第35代米大統領 1917-1963)
1961年に大統領に就任した時の年齢は43歳。選挙で選ばれた大統領としてはアメリカ史上最年少(就任時42歳だったセオドア・ルーズベルトは副大統領からの昇格)。国民からの人気は絶大であったが、1963年11月22日テキサス州ダラスでパレード中に暗殺される。その背景は未だに謎に包まれ、様々な解釈がなされている。

⁑青木盛久(外交官 1938-2024)
1994年に駐ペルー特命全権大使に就任。任期中の1996年11月、極左テロリストグループによる「ペルー日本大使公邸占拠事件」が勃発、人質期間は127日に及んだ。事件は、ペルー特殊部隊が地下から突入し、犯人は全員射殺。その際、特殊部隊の2名とペルー最高裁判事が死亡、日本人人質に犠牲者は出なかったが、青木は救出の際に重傷を負った。